音声・言語・嚥下の異常

発声障害について

「声が出しにくい」「かすれる」「うまく話せない」などの症状がある場合、それは発声障害かもしれません。
声は、喉にある声帯という器官が動くことで出ています。この声帯に炎症や腫瘍(できもの)、または神経の異常があると、声が出にくくなったり、声質が変わったりすることがあります。

主な原因としては、以下のようなものがあります。

  • 風邪やウイルス感染による声帯の炎症
  • 声帯を動かす神経(反回神経)の麻痺(※がんなどが原因の場合もあります)
  • 声帯ポリープや声帯結節などの良性の病変
  • 声の使いすぎ(カラオケや仕事での発声など)
  • けいれん性発声障害(声帯が勝手にけいれんして、声がうまく出せなくなる病気)

診断と治療について

診断には、喉頭ファイバースコープという細いカメラを使って、声帯の動きを直接確認します。
治療は原因によって異なりますが、以下のようなものがあります。

  • お薬による治療
  • 声の安静・リハビリ(音声訓練)
  • 注射(ボトックス治療)や手術
  • がんの場合は専門的な治療

など、患者様の状態に合わせた方法をご提案します。「声が出にくい」と感じた、声の不調が続く場合、単なる疲れや風邪ではない可能性もあります。気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。

嚥下障害について

嚥下障害とは、「食べ物や飲み物をうまく飲み込めない」状態のことをいいます。
のどや舌の動きが悪くなったり、食道の狭まり(腫瘍など)が原因で、食事中にむせたり、飲み込みづらくなることがあります。
主な原因には以下のようなものがあります。

  • 加齢による飲み込み機能の低下(老化)
  • 脳梗塞などの脳の病気
  • パーキンソン病などの神経・筋肉の病気
  • 食道やのどの腫瘍

飲み込む力が弱くなると、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクが高くなったり、栄養不良や脱水につながることがあります。早期の診断と対応が大切です。

検査と治療について

嚥下障害の状態を詳しく調べるために、以下のような検査を行います。

  • 内視鏡検査(ファイバースコープによる観察)
  • 嚥下造影検査(X線を使って飲み込みの様子を確認)

検査結果をもとに、原因に応じた治療やリハビリテーションを行います。必要に応じて、嚥下の専門施設と連携して治療を進めることもあります。このような症状がある方はご相談ください。

  • 食事中によくむせる
  • 飲み込みにくさを感じる
  • 食後に声がかすれる
  • 最近、体重が減ってきた
  • 食べるのがつらくなってきた

症状が軽くても、早めの検査・診断が重要です。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

構音障害について

構音障害とは、「発音がうまくできない」「言葉がはっきりしない」といった状態を指します。声は声帯で作られた音が、のど・口・鼻の形を使って整えられることで、言葉になります。この音の作り方を「構音(こうおん)」といいます。
構音は、通常5歳ごろまでにほとんどが発達すると言われています。

構音障害の種類と原因

構音障害には、いくつかのタイプがあります。

器質性構音障害

口やのどの構造に異常があることで発音がうまくできないタイプです。
※例:口蓋裂(こうがいれつ)など
治療には、手術と発音の訓練が必要になることがあります。

機能性構音障害

発達の過程で誤った発音のクセが身についてしまった場合です。
言語訓練によって改善が期待できます。

運動性構音障害(成人)

成人になってから、脳梗塞や神経の病気などにより発音が不明瞭になるタイプです。
言語聴覚士による専門的なリハビリテーションが行われます。

診療と対応について

構音障害は年齢や原因によって治療法が異なります。

当院では、医師が診察を行い、必要に応じて言語聴覚士や専門施設へのご紹介をいたします。
「発音が聞き取りにくい」「話しにくい」と感じる場合は、お気軽にご相談ください。

お子さまの言葉の発達が気になる場合にも、早めのご相談がおすすめです。