副鼻腔炎は、上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞の副鼻腔に炎症が起こる病気で、以前は「蓄膿症」とも呼ばれていました。
主な症状は、嗅覚低下、臭い鼻汁、顔面の痛みや腫れ、発熱などです。
長引く場合は慢性化の可能性があり、診断には鼻内視鏡やCT検査が用いられます。治療は抗菌薬の長期投与やネブライザー療法が中心で、効果がない場合は内視鏡手術を検討します。
最近では、喘息や嗅覚障害を伴う難治性の「好酸球性副鼻腔炎」が増えており、ステロイド治療が有効です。
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが強く出る病気で、体がアレルゲン(花粉やホコリなど)に過敏に反応して起こります。主な原因は、ハウスダスト、ダニ、スギやヒノキの花粉、ペットの毛、カビなどです。
診断は、鼻の中の状態や鼻水に含まれる好酸球のチェック、血液検査などで行います。治療には、抗アレルギー薬やステロイドの点鼻薬が使われ、症状が強い場合は手術も検討されます。
また、「アレルゲン免疫療法」という治療法もあり、アレルゲンを少しずつ体に入れて慣らすことで、症状を和らげます。方法には、注射で行う皮下免疫療法と、薬を舌の下で吸収させる舌下免疫療法があります。特にダニやスギ花粉によるアレルギーに効果的です。
鼻の一番奥には「嗅裂(きゅうれつ)」という場所があり、そこにある「嗅上皮」には匂いを感じる細胞(嗅細胞)があります。
匂いの分子がこの場所に届かないと、匂いを感じにくくなります。
風邪、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などが原因で、匂いが届きにくくなったり、ウイルスで嗅細胞が傷ついたりすると、嗅覚が低下します。
嗅覚の検査は、特定のにおいをかいで反応を見る方法や、におい成分を鼻に注射して反応を調べる方法があります。
治療は、原因となっている病気の治療が基本で、鼻の洗浄、薬(特にステロイド点鼻薬)、必要に応じて手術などが行われます。
上顎がんは、鼻の横にある上顎洞という副鼻腔から発生するがんです。
重度の慢性副鼻腔炎が一時放置されると、発生しやすくなると考えられています。
最近では、慢性副鼻腔炎の軽症化とともに、上顎がんは減少傾向にあります。
初期の上顎がんは症状がほとんどなく、風邪や副鼻腔炎と間違えやすいことがあります。しかし、がんが進行すると、次のような症状が現れることがあります。
手術では、がんが確実である範囲によって、上顎洞の一部または多くを切除することが起こります。
進行した場合は、放射線治療や化学療法を組み合わせることもあります。
上顎がんは、初期症状が風邪や副鼻腔炎と似ているため、発見が遅れることがあります。
一度だけの鼻づまりや鼻血、頬の盛り上がりが長くなる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査を受けることが大切です。